モウソウの森

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初めてのビッグサイト同人作家デビュー体験記

ビッグサイトデビュー

先日念願の同人誌イベントデビューを果たしたので、レポします。

 

同人界はハマると進行速い

「同人誌ってオタクが書いてる本でしょ?」という全く他人事の状態から、まさか自分が頒布する(売る)ほうになるとは思いませんでした。

1年ほど前からあるアニメ作品にハマって、ネットで検索するとpixivなるサイトに突き当たりました。主に同人作家が2次創作の作品を発表するサイトです。

それが素人の作品とは思えないほど素晴らしく(のちにプロもたくさん混ざってることを知ります)、最初はチラチラ見ているだけだったのが、そのうちID登録をしてお気に入り作品をブックマークするようになりました。

作品のうちのかなりの割合が途中までしかアップされておらず、同人イベントで販売される本のサンプルであることに気付きました。

全部読みたいのに!!と悔しがります。

ただし同人イベントに買いに行くほどの熱意はない、ニュースで時々見る大混雑の中に加わる元気はないと、サンプルだけで満足してました。

しかも成人向け作品が多いのです。あんなすごいの、まさか家に置けません!

そのハードルをとっぱらったのは、好きな作家さんへの愛です。

最初はおそるおそる、同人専用の通販サイトに登録して購入してみました。憧れの本が手に入って感激しました。

そのうちツイッターで好きな作家さんをフォローしまくると、気軽にpixivでブックマークしていたのはそうそうたる人気作家さんだったことを知ります。

イベントに行けば会える……、信じられない!と思います。

本を書き始める

同時に、同人活動で交流しているみなさんが楽しそうに見えました。

なんでもやってみたい、とすぐ思ってしまうほうです。漫画は無理だけど文字ならば、つまり小説ならば書けるのでは?と安易に考えました。

でも小説なんて書いたことありません。最初の1行に3日かかりました。なんせ何もわかりません。出だしは季節の描写だろうと、雰囲気だけで書き始めました。

「ある秋の昼下がり〜」みたいなやつです。1行書いたら諦め?がついて、それっぽい話を900字で書き上げました。

さすが1本目、推しカップルの2人は最後まで出会いもしません!今読み返すとびっくりです。

それでも短い話を1本書いたら諦めがついて、もう1つ、もう1つと短編を書き始めました。

5つほど書いた時、ついにその時がきました。憧れのpixivにアップします!

なんだかよく分からなかったので、いっきに全部アップしました。今思うと、タグの新着を占領してしまってすみません、と焦ります。まさか新着に載るとは知らなかったのです。

すぐに閲覧数が50とかになり、驚愕しました。

「え、誰がどうやって読んでるの!?」って。

そこで、アップすると新着に載ることを知ります。ブックマークも3つぐらいしてもらえました。

読んでるだけのときはブックマークが1000個以上付いてない作品は少ないな、と思ってましたが、自分がアップする側になると10個もらうのさえもなんと難しいことか。

今までのすごい上から目線を恥じました。

イベント申し込む

週に1つ短編をアップし始めると、全く自己流ながらちょっとずつコツのようなものがわかってきます。

書き始めて2ヶ月もたたないうちに、8ヶ月後の同人イベントなら出られるんじゃない?と安易に思って申し込みました。そのころにはもっと上達して本を出せるようになってるだろうと。

一度も同人イベントに行ったこともないのに、参加申し込みをしたのです。知らない勢いってすごいですね。

その後もチマチマと書き続けました。

イベントの3ヶ月前から本にする作品を書き始めました。本にするとなると、たんにネットにアップするのと全く違う緊張感があります。ストーリーが思い浮かばず、ビビってなかなか寝つけない日が1週間ぐらい続きました。

ストーリーが大体決まってからは毎日夜に書き続けました。ほんとコツコツ作業です。仕事のあとどんなに疲れていても毎日2時間ほど書きました。

表紙の絵も自分で描くために、ペンタブレットでデジタル絵の練習も始めました。

オタクが生み出すエネルギーってすごいですね。

余裕あるスケジュールだったはずなのに、ふたを開けてみれば印刷所の早割にギリギリ。分からないことが100ぐらいあって、経験者のフォロワーさんに泣きついたりしながら、表紙と本文をなんとか印刷所に入稿しました。全部で100時間はかかりました。

同時に憧れの通販サイトに登録してみました。素人の作品が売れるのか全く謎です。自分的にはちょっと多すぎると思う数を販売(頒布)委託して、またもや夜うなされました。が、2日で完売しました。びっくりしましたが、そもそも元作品の人気のおかげだなと理解しました。

イベント遠し

本も作れたことだし、今年4月の同人イベントを心待ちにしました。

しかしコロナが蔓延して、イベントが8月に延期になります。

せっかくがんばって本作ったのに!!

時間があるのでpixivにアップするために書いていた話を本にすることにしました。1冊より2冊あるほうがいいからです。

何事も初回は大変だけど2回目からぐっと楽になります。2冊目は分からないことが少なく話も短めだったので、50時間ほどで完成させることができました。

2冊を持ってイベントで直接手渡しする日を心待ちにしていましたが、7月になるとまたもやコロナが蔓延してきました。なんということ!

8月開催もほぼ無理だろうと諦めて、印刷数の大部分を通販に回しました。

しかし、イベント会社と参加者の全力のコロナ対策で、いつもよりかなり小規模ながらに7月に同人イベントが復活しました。一丸となってという言葉がぴったりです。

冷や冷やしながら状況を見守り、ついに8月に念願のビッグサイトデビューをはたせることになりました。

イベント当日

1年待ったイベントに向かうのに、緊張と興奮でいっぱいです。

小さいスーツケースに本と展示グッズを入れて、朝8時にビッグサイトに向かいました。

参加者も少ないので電車はがら空き、東京テレポート駅もがら空きです。

ビッグサイト入り口でサークルチケットを渡してだだっ広いホールに入った時、感動がこみ上げました。

「ついに来た……」

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ドキドキしながら自分のスペースにたどり着きます。机の前面にサークル名が貼られていました。

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印刷所から直送してもらった新刊(自作の本)が机の下に届いてます。

となりの人に挨拶をすると、パイプ椅子に座ってスーツケースを開きました。

が、緊張と興奮で準備が手につきません。しばらく、荷物を持ち上げては戻すのを繰り返しました。

刻々と開場時間が迫るので、深呼吸を繰り返してなんとか設営を開始します。手が震えて値札にテープがうまく貼れずに、何度もやり直ししました。

与えられたスペースは思ったより狭くて、本2冊と説明パネルを置くといっぱいです。憧れの「設営完了しました」ツイートをして、また1つ夢がかなったと興奮しました。

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ちなみにコロナ対策としては、マスク、フェイスシールド、ビニール手袋をして、本にはビニールシートをかけ、お釣りトレーを用意して、アルコール完備しました。

ついに開場です。

しかし、1人参加のため最初の30分は自分の買い物(他の方の同人誌を)に回ろうと決めています。「11時から頒布開始します」という張り紙を残して、駆け足で買い物に出かけました。

無知からちょっとした事件を引き起こします。

戻ると運営会社から、注意書きが残されていました。R18作品を展示したまま席を離れるのは禁止だというものです。確かにR18だけれど、表紙も全然いかがわしくないので油断していました。「わかりました」という紙を提出するまで頒布禁止だそうなので、署名して案内所に提出してことなきを得ました。めちゃめちゃ焦りました。

離席するときは布をかけたりして見えないようにすればよいそうです。次回から布を持参します。

案内所から戻って席に座ると「もう頒布してますか?」と一人の方が来てくださって、内心まだ動揺している中で頒布を開始しました。そのあと立て続けに3人ぐらい来てくださって、念願の直接手渡しの夢をかなえることができました。

とはいえ、ホールはがら空きです。売る側で参加している人も空席が目立つし、買う側で参加している人も少ないです。

そしてシャッター開放しているので換気は十分のかわりに、ちょっとだけ蒸してます。でもギリギリ快適に過ごせる気温でした。

その後もパイプ椅子に座っていると、ポツポツと買いにきてくださる方がいてめちゃめちゃ暇にはなりませんでした。

フォロワーさんも何人か来てくださって、会うの初めての方、一度会ったことがある方とお話しすることができました。イベントの楽しみの1つですね。

初めてお会いする方からすでにちょっと読んだ感想を言ってもらえたり、次回のイベントにも出るか聞いてくださったりと、書いてよかったと心から思いました。

結局完売はしませんでしたが、3分の2は頒布することができました。

すっかり満足して、13時には撤収のため片付けを開始です。

帰りの電車で頭痛が気になり出します。熱中症になってました。

そんなに暑くなかったし喉が乾かなかったので(興奮状態だったのも原因です)、ペットボトルの水の半分ぐらいしか飲まなかったのです。1人参加なのでトイレも行きにくいですし。

他にもスポーツドリンク2本持参していたのに!よりによって水、しかも半分しか飲まなかった。大失態です。暑くなくても喉が乾かなくても熱中症になるのは高齢者だけじゃなかったです。皆様お気をつけください。

その後、夜に寝るまでひどい頭痛に悩まされました。

しかし、頭痛の中、同居人と近所に焼肉アフターには行きました。同人イベント参加は「焼肉アフター」を持って終わるのが定番だからです。

肉の写真をツイッターにアップして、同人デビューの悲願を果たしました。

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終わりがない

翌日から次の11月のイベントの本のために、また書き始めました。書くのが遅いので、もうギリギリのスケジュールです。

こうして終わらない同人沼にハマっていくのだと実感しました。

ただし、定期の「くそつまらない本しか書けないから書いても意味ない病」を発症したときに「面白かったです」と言ってくれた方の顔が思い浮かびます。

イベントに出るってそういうことだなと思いました。

ちなみに弱小サークルなので、利益はないどころか赤字です。在庫全部をはけると、印刷代と、もしかしてイベント参加費(5千円〜6千円)がまかなえるかもしれないぐらいです。在庫が余ると完全に赤字だし、その他にも展示グッズや交通費などかかっています。完全に趣味の世界です。

それでもやるんだからよっぽど楽しいのだろうと思われるかもしれませんが、個人的には書いてる時はほぼずっと辛いです。書き上がったものが自分で好きと思えたときと、面白かったと言ってもらえたときだけ、報われた気がします。

それが大きいのでしょうね。

辛いけれども楽しい創作の魅力がわかりつつあるので、末長くオタク活動を続けていきたい所存です。