この世界の片隅に
映画「この世界の片隅に」を先週観たのだけど、一言でいうとジワジワ来る映画だった。
分かりやすく号泣するところはないけど、観終わった後なぜか泣きたくなっている感じ。
以下、できるだけネタバレなしで感想をあげる。
ほんわかタッチ
うっすら戦争映画だと知っていたので、「火垂るの墓」みたいなストーリーだったらどうしようかとビビっていた。
火垂るの墓は子どもの頃から何度か観たけど、内容が辛すぎて具合が悪くなるので最近は観ることができなくなった。
「この世界の片隅に」は、そんな人でも大丈夫。
火垂るの墓は爆心地の話だとすると、この世界の片隅では広島の呉市というちょっと離れたところが舞台。
離れているので戦争の怖さが直接的ではなく、ちょっと距離を持って伝わってくる。
「ギャー!」という怖さではなく、ちょっとずつちょっとずつ。
おかげで具合が悪くならずに観ることができた。
始終ほんわかタッチなので、内容とのギャップもジワジワ来る。
しかも主人公は絵が得意で、戦争物なのに時々アートが入るのが新しいと感じた。
映画のテーマは
「この(戦争の)世界の片隅に」せいいっぱい普通に暮らす
ということのようだ。
戦中の生活
2時間ずっと面白く観ることができたのだけど、興味深いのは戦中の生活がかなり詳細に描かれているところ。
着物をばらしてモンペを作る方法や、できるだけ少ないお米を増やして食べる節米料理など。
途中で料理番組になったのかと思うほどの詳細さである。
主人公すずさんは映画ではとろいキャラなのだけど、朝から晩まで働いていて私から言わせると全然とろくない。すごくしっかりした女性。
戦中はあのレベルでとろいと言われるならば、現代に生まれて本当に助かった。
防空壕は普通に家庭ごとに庭に掘ってあるのが意外で、もっと地域に1個とかなのかと思っていた。
防空壕に入ってれば安心なのかと思ったら、入っていてもやっぱり怖いのも伝わってきたし、だんだん警報に慣れて逃げなくなるのもリアルだった。
飛行機から弾が降ってきて、普通に自分が耕してる畑や家の屋根に落ちて畳が焼けたりするのもすごく恐怖に感じた。
今までは「1個の弾が落ちたら一気に家がふっとぶみたいな」イメージを持っていた。
でも、この映画での屋根の一部に穴が空いて畳がちょっと燃え始めるみたいなジワジワ来るほうがリアリティを持って怖さを感じた。
まとめ
ほんわかタッチだけど、起こる出来事はやっぱり容赦ない。
でも分かりやすく泣かせてくれるところはない。
それだけに、観終わった後「ワー」って泣きたくなる。
どのシーンにということではなく、やるせなさとやり場のない気持ちをどうしていいか分からなくなるから。
原爆を落としたアメリカを責めるという感じもなく、淡々と流れていく。
それだけに、戦争の怖さがピュアに伝わるので世界中で放映されたらいいな〜と感じた。
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漫画が原作なのですね。
小説も読みたい。