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小説「言の葉の庭」はアニメのストーリー補完がすごかった

小説

小説「言の葉の庭」を読んだ。

アニメ映画は好きで、何回か観ていた。

小説はひとことで言うとストーリー補完がすごい。

以下、感想をあげていく。

小説 言の葉の庭 (角川文庫)

小説 言の葉の庭 (角川文庫)

 

 

感想

新海監督は文章を書いても、表現力がすごい

「小説家が本業なのでは?」と思わせる繊細な風景や気持ちの描写がたくさん。

でもあとがきを読むと、アニメでは1秒で表せることを言葉にするのに四苦八苦して悔しい思いをした、と書かれていた。

え、むしろ文章の素晴らしさにこっちは驚きましたけど!?

 

意外な設定

雪野先生はアニメでも美人だけど、小説では絶世の美女という設定。

美女だけに子供のころから目立ってしまい、周囲と溶け込めない。

アニメを観た印象では、もっと普通っぽい美人だと思っていた。

でも小説によると、周りの空気を一瞬で変えてしまうほどの目立つ美人なのだそう。

美人であるがゆえの苦労・・。

この設定で、ちょっとアニメと世界観が変わった。

 

孝雄の中学時代

アニメには全くなかった、孝雄の中学時代の恋が描かれている。

孝雄には前から年上好きの気があったことが分かる。

孝雄は全く恋愛に縁がなさそうだったのに意外とやるな、と驚いた。

 

視点がいろんな人に入れ替わる

小説は1章ごとに、誰の視点で書かれているのか入れ替わる。

秋月孝雄や雪野先生ばかりでなく、孝雄のお兄さん、お母さん、雪野先生の元彼の伊藤先生、雪野先生をいじめた3年の先輩の章まである。

アニメではほんの一言のセリフにこんなに深い背景があったなんて・・・、という箇所が何箇所もあった。

あとがきで、新海監督が小説を全部アニメにすると2時間超える、と書いていたのも納得。

アニメは45分足らずなので、エッセンスだけにしぼってるのだ。

でも実際はアニメが先にできたので、新海監督が膨らませて書いたのが小説だ。

 

アニメだけでは、お兄さんとその彼女、お母さんのキャラがよくわからない。

小説を読むと、そういういきさつで、家を出たり戻ってきたりしてたのかとわかる。

お母さんの職場でのエピソードまである。

 

また孝雄のバイト先の中華料理屋での同僚、リー・シャオホンが気になる人物すぎる!

アニメには全然出てこなかったけど、きっとまあまあイケメンなんだろうな〜。

アニメに出てきてほしかった。

 

孝雄がビンタした相沢先輩は、アニメだと単なるいやな人。

でもどうしてそうなったのかの経緯が丁寧に小説に書かれていて、ちょっとは同情できるようになった。

 

完全な瞬間

新海監督は完全な瞬間が好きみたい。

秒速5センチメートルでは、桜の下で主人公2人がキスした瞬間。

言の葉に庭では、孝雄が雪野先生の足を測った瞬間が、完全だったそうだ。

「そこでしたか〜!」と驚いた。

もっと別のところかと思ってた。

その瞬間を超えるときはもう来ないのだ。

切なさ全開で新海監督っぽい。

 

雪野先生のあのセリフの心情

雪野先生が「雪野さんじゃなくて、雪野先生でしょ」と言った心情が、小説には詳しく書かれている。

アニメだけ見ると「そんなひどい!」と思ったけど、先生も必死だったのだ。

 

孝雄の進学先

アニメではわからなかったけど、孝雄は靴職人になるべく最先端の靴の学校に通い、2年後に雪野先生と再会する。

あの後もちゃんと交流あったんだ〜、と嬉しくなった。

結局2人がどうなったのかは分からなかった。

でも15歳と27歳だったのが、20歳と32歳になったので、犯罪ではなくなったよね。

なんとかなってて欲しい。

 

まとめ

以上、小説を読むと新しい発見がたくさんあり、謎がとける部分も多い。

アニメをもう一度見返してしまったのだった。

小説もぜひ読むことをオススメする。

小説 言の葉の庭 (角川文庫)

小説 言の葉の庭 (角川文庫)